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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(れ)57号 判決 1951年5月25日

主文

原判決を破棄する。

本件を東京高等裁判所に差戻す。

理由

弁護人丸山正次の上告趣意について。

原判決は原審第八回(原判決に第七回とあるのは明らかに第八回の誤記と認められる)公判調書中の証人飯村覚の供述記載を証拠とし之を他の諸証拠と綜合して被告人の本件犯罪事実を認定していること、右第八回公判が裁判長判事加納駿平、同亀崎弘尚及び同鈴木重光によって構成された裁判所で開かれていること、そして右鈴木判事が本件第一審の裁判に関与した判事であったことはすべて所論のとおりである。然らば右鈴木判事は前審関与として当然原審において本件の審理につき職務の執行から除斥せらるべきものであるから、同判事を構成員として開かれた右原審第八回公判手続が違法であることは勿論、右公判調書における証人の供述記載を事実認定の資料に供することも亦違法であるといわねばならない。従って原判決には所論のような違法があり破棄を免れないから、他の論旨につき説明を省略する。

よって刑訴施行法二条旧刑訴四四七条四四八条ノ二により主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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